2019年08月09日

第14回 「ライフプロデュース」研究会開催しました。

7月31日、第14回「ライフプロデュース」研究会開催しました。
80代×1名  70代×3名  60代×5名  50代×1名  計10名

今回のテーマは「人付き合いの距離感(間)」
このテーマで思い浮かんだことが二つある。一つは、スタンフォード大学の教授 社会学者 マーク・グラノヴェッターの唱えた『The strength of weak ties』「弱い紐帯の強み」、社会的な繋がりが薄い人からの方が関係性が濃い人間関係よりも自分が知らない情報をもたらしてくれるという説、もう一つはヘルシンキ大学の名誉教授、ユーリア・エンゲストロームの『knot working』「ノット・ワーキング」―、変化し合う個々人が学び・遊び・交流・仕事をハイブリッドに融合させ、他者との協働のプロセスで互いにKNOT(結節点)となって、結んだり開いたりして繋がり合う関係性―。私自身、ここ数年、この2つの説を意識することで、他者との距離感において大分楽になった気がする。↓の著書では「ノット・ワーキング」と「チーム」や「ネットワーク」の対比が興味深い。
https://www.rochokyo.gr.jp/articles/br0805.pdf

今回、参加者それぞれの他者との関係性の悩みなど、興味深くお聞きした。
纏めを担ってくれたのは、Mayumiさん ~以下に続く〜

【 距離をもっと近づけたいケース 】
■約1000世帯、子育て世帯が9割を占める超高層マンションに居住中。自らの経験を若い世代に伝えたいと思い、声をかけたりコミュニティ活動を模索しているが、なかなか活性化しない。(70代男性)

■運営に関わっている団体では、理由も告げずに突然に退会する人もいる。あまり決まった型に嵌めずにやっているつもりだが、それでも運営はなかなか難しい。(70代男性)

【 良い感じの距離感 】
■古くからある団地にカフェが新設され、シニアの集いが誕生して気を許す仲に。そこで出会ったと思われる関係の中で、日々淡々と将棋を打つ男女シニアの姿は一つの理想では。(60代男性)

■興味を持った織物教室へ。二つの派閥が出来、集まるごとに人間関係で揉めているグループを避け、織ることをメインにしていたグループに入り、数年楽しく継続中。(60代男性)

■教員時代の教え子が集まり、畑で一緒に野菜を作り始めた。やがて教え子以外にもいろんな人が参加するようになって規模は拡大。皆、「楽しい」がモチベーションのようだ。(60代男性)

■朝の出勤時、自転車で前後に二人の子どもたちを乗せて、保育園へ送る30代パパと挨拶し合う関係に。ある日、信号機が赤になったタイミングで自転車を隣に寄せて、「パパ、格好良いですね!」と声をかけてみたらとても嬉しそうだった。細かな背景等は知らずとも声をかける、この関係が丁度良い。・・・ちなみに『極上の孤独』(下重暁子、幻冬舎)が私のオススメ本。(60代女性)

■距離感は気にしたことがない。多々のボランティア活動に参加や運営して思うのは、何よりも役割が大事ということ。役割が人を作る。人それぞれの出来ることに合わせて役割付けをしてあげると、上手くいく。(80代男性)

■退職後に新しく出会った方々、人柄に魅せられた方との時間を大切にするようになった。経歴などは互いに聞かないようにしている。彼らとの月1回の飲み会が、いま一番良い距離感、良い関係だ。(60代男性)

■同窓会でベテラン世代と若年世代で運営方針の意見が分かれ、すり合わせも上手くいかず。が、意見集約に固執せず、各世代が良いと思う企画を実施したら相互に良い刺激に。衝突を避けつつ活性化し、良かった。(50代女性)

【 できれば距離を遠ざけたいケース 】
■夫の趣味である弓道の会に参加をしたが、女性がお茶と弁当の世話となっており、その点で相容れずにすぐやめた。(60代女性)

■ご近所同士であることだけを理由に付き合うことや、同期や同窓など過去の一時期の関係性だけを理由に付き合うことは、意識して距離間をコントロールするようになった。魅力的な人とは括りがなくとも自然に惹かれ合って繋がり合える。派閥や根回し、陰口やネガティヴな噂話には関わりたくない。(60代女性)

■古くからある団地にカフェが新設され、シニアの集いが誕生して気を許す仲に。しかし、数名の男性から「材料費を出すから誰か日々の料理してくれないか」「独居の身なので誰か家政婦をしてくれないか」との要望が出ると一気に皆さんの反感を買ってしまった。(60代男性)

■退職してからは、会社時代の付き合いや同級生との付き合いなどは、相手から声がかかったら応えるが、気が進まないものは積極的には持たないようにしている。(60代男性)

<今回のまとめ>
「人との距離感」を良い状態に保つには、既存の関係や組織の維持のみに注力するのでなく、個人や社会にとって良いと思われる方向を考え、選んでいく必要があるというところに話が集約しました。
□個人では
・・・意志に関係なく継続せねばならない関係からだいぶ解放される。完全に断ち切るのは現実的でないが、関係や距離感の維持に固執せず、本人や社会にとって良いと思える方向に調整していくのが、シニア期の「人との距離感」ではないかということに。
□集団では
・・・原則自由参加のボランティア活動であっても、役割付与など何らかの形付けは必要である。多人数の意志が働くので難しいが、集団リーダーによる人柄を含めた雰囲気作りや冷静な方向付けが「適度な距離感」醸成に寄与するのではということに。

※ 参加できなかった60代男性の投稿はこちらから↓
2019年7月31日LP研資料 60代男性.docx

<次回テーマは「居場所がなく孤立した人間の見守り方、接し方」>
この議論に参加した臨床心理士の方から、「心理学では、相手との関係性の持ち方をタイプ分けする考え方もある。例えば、自らの不安を我慢して相手から良い人と思われようとする ”孤立型” 、逆に不安を晴らして相手を思い通りにしようとする “依存支配型” など」という話題が提供されました。他の参加者からは「コーチングの分野では、コントローラー、プロモーター、サポーター、アナライザーの4つのタイプの分け方がある」との話も。

次回のライフプロデュース研究会では、「居場所がなく孤立した人間の見守り方、接し方」をテーマに据えて心理学を軸に展開します。距離感を探り合うことも困難になっている人々に対して、社会はどのようにアプローチしたら良いのか。冒頭でまず臨床心理士の方がレクチャーを展開し、その後、参加者相互に事例紹介を行います。興味関心のある方は是非とも参加して頂ければと思います。

<レポート後記>
心理学の視点を取り入れると、各人が主観的に捉えている関係性を客観的に整理できたり、ひいては望ましい距離感の構築が容易になったり。そんな可能性を心理学というものは秘めている感じが致します。
企業という組織内での振る舞い、家庭内での子育てや介護や看取り、そうした役割から少しづつ離れていき、新たに各人各様の青写真を抱いて関わり合おうとするのがシニア期だとするならば、何かしら共通言語のようなものが必要であり、心理学はその一つと言えるのではないでしょうか。次回を楽しみに致しましょう!
森木まゆみ

◇第15回「ライフプロデュース」研究会開催のご案内
1.日時 9月25日(水曜日)18:00〜20:30
2.「居場所がなく孤立した人間の見守り方、接し方」
3.場所:場 所:内幸町 日本プレスセンター内日本記者クラブ9階ラウンジ

☆ 第14回ヴオーグ.jpg

懇親会は、プレスセンタービルから徒歩5分『ドイツ居酒屋ベッカライ』
第14回 ライフプロデュース研究会懇親会 ドイツ居酒屋ベッカライ.jpg
posted by ライフプロデュース研事務担当 at 02:43| Comment(0) | ブログ