2021年02月21日

女60歳還暦を迎えて 言いたい放題 やりたい放題    ライフプロデュース研究会メンバー ジェシカさん

皆さん、こんにちは! 「ライフプロデュース」研究会です。
今日は2021年 2月21日 語呂合わせが良い日ですね!
研究会メンバーのジェシカさん(60歳)が、還暦を迎えられたことを機に、「女60歳還暦を迎えて 言いたい放題 やりたい放題」と題して、エッセイの連載を始められることとなりました。

ご自身のブログを開設するのは、決心がつかないけど、既に、メンバーである「ライフプロデュース」研究会ブログだったら、「安心して、人生一区切りつけるために、本音を語れるかなぁ〜」とのことです。
嬉しいですね!こういうご利用の仕方。

「ライフプロデュース」研究会は、会員の皆さまと「シニア社会学会」との<架け橋>になることも、大切な役割と考えております。安心して、どんどん、本音を語っていただきたいです。(以下、ご本人の文章そのままアップさせていただきます。)

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ジェシカさん(60歳)の自己紹介
・東京都本郷にて不動産管理会社経営 東京生まれの東京育ち
・持病 ワーカホリック 片頭痛
・座右の銘 Never give up! 正々堂々
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女60歳還暦を迎えて 言いたい放題 やりたい放題 
 

ライフプロデュース研究会メンバー ジェシカさん(60歳)

1.【ちょっと人生一区切り】 

人生100年時代などと言われると 60歳還暦を迎えたからと言って人生に区切りをつける必要もないのかなとさえ感じてしまう。しかし「一気通貫」で節目もない人生というのも何となく絞まりがないので、一区切りくらい自分でつけてみるのも悪くないと考え稚拙な文章ではあるが書いてみたい思いに駆られた。長年続けてきた人間関係の在り方や習慣にも疲れを感じているのも正直な気持ちである。会社務めの方は強制的に定年退職というイベントによって区切りが付けられるが、自営業の場合、自分で自分の人生に区切りを付け人生の再構築をなさなければならない。事業継承するのか会社を閉めるのか等々 先延ばしにすればするほど 昨今言われている老害リスクが高くなる強い懸念があるからである。だからこそ文章を書く作業を通して自分の人生とじっくり向き合い、この文章の作成を通して区切りをつけ、尚且つ二人の息子達へのメッセージになればいいなあと思っている。我が家での母親と息子の関係はベースには温かさがあるけれど 表面的にはドライというかサラリとしている。お互い照れ臭いのか人生感などについて話し合ったことはない。だからあなた達の母親はどんな思いを抱きながら生きたのかをメッセージとして残せたらと思い 書かせて頂こうと決めたのである。何篇かのエッセイになる予定である。テーマは一篇を書き終えた後に決めていきたいと思っている。

第一篇は「女の人生 みんな波乱万丈」である。
女という性を受けてこの世に生まれ 気がつけば60年も生きてきた。名もなき女ではあるが[そこそこ波乱万丈な人生]を生きてきたと思う。よく人生どん底だなあと思った時思い出した女性がジャクリーン・リー・ブーヴィエ・ケネディ・オナシス(Jacqueline Lee Bouvier Kennedy Onassis 1929年7月28日 - 1994年5月19日は、第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの夫人。1961年から1963年までアメリカのファーストレディであった)である。もう知らない人の方が多いかもしれないが私から言わせて頂ければ彼女の人生こそ波乱万丈という言葉を体現した女性の一人ではないかと思っている。誰が31歳の若さで大統領夫人になり 誰がパレードの最中に車の隣に座っていた夫(第35代大統領 ジョン・F・ケネディ)が2発の銃弾を受け その夫の破裂した脳を拾い集める為に車の後部トランクの上にまで上がる体験をするだろうか。誰が当時世界一大富豪と言われたリストテレス・オナシスと再婚するだろか。そう考えると 私は人生どん底と思った時「いやいやジャクリーンに比べたら屁でもないなあ。どうせ中途半端な波乱万丈だったら 究極行き切った波乱万丈がいいなあ」と自分に呟いたものである。「他人の不幸は蜜の味」という意味ではないが、自分より不幸な人を見て自分自身が救われるということは結構当たっているかもしれないと思う。

 ここで自分の人生の苦労話しを語るつもりはないが、30代から50代までは 怒り(アングリーパワー)が私の気持ちの根底にあったことは確かだと思う。許せない・戦わずして必ず見返してやるというアングリーパワーが本当に半端なくあったと思う。何故あんなに怒っていたのか。このままでは終わりたくないという上昇志向・描いていた人生と現実との折り合いが就かないことへの苛立ち等々。いつも心の中でアングリーパワーがマグマのようにあったように思う。あれが生きるエネルギーだったとすると かなり残念な日々だったと思う。今でも勿論怒りの感情が沸きあがる時はあるが、以前の怒りとは様相は違ってきた。このままでは終わりたくないという上昇志向は消え、自分らしく生きたいという思いを邪魔されることへの怒りがちょくちょく顔を出すようにはなったと自分の感情の変化を感じる今日この頃である。ただあんなに自分自身とも社会とも子供とも親とも闘った結果の成果って何かあったのだろうかと今は漠然と思う。よく考えると人生どん底と思っていた時はそれと闘うことでむしろ自分を支えることができたのかもしれない。闘争本能が生き抜く力になってくれていたのかもしれないと。しかしそれによって失ったもの 捨ててきたものも多くあったように思う。家族との穏やかな時間や会話を私は置き去りにしてきた自責の念がある。よく「死ぬ前に後悔する10のこと」とかにもっと家族と仲良くしておけばよかったとかリストに入っているが、我が家は母子家庭(主人他界)という環境にもかかわらず息子達の成長期に殆ど会話が無かったように思う。物理的な親の務め(食事・洗濯・授業料等)は果たしてきたが、息子達に母親として寄り添う母性はかなり低かったと思う。むしろ父性の方が強く 今書いたら女性蔑視と叩かれそうだが「稼いできてるのは私なのだから 私の思い通りに育って当然でしょう」といつも心の中で叫んでいた。今思うと毒親そのものである。後悔先に立たずだが よくぐれないで二人とも育ってくれたものだと感謝している。

 今はそういう意味で平和で穏やかな日々で幸せと思うべきなのだとも思うのが・・・。今の幸せに感謝しつつも何か突き動かされるものに挑戦したい火種が自分の心の奥底にあるのを感じるのである。いったいこれは何のパワーなのだろうか。
 もうそれなりに波乱万丈な人生を生きたのだから60歳過ぎたらきっと穏やかな日々を育みながら生きていくと思っていたのに おっとどっこい未だ電球が切れないのである。
仕事中心で生きてきた女も人生のシフトチェンジにもがいているのである。長男から「これまで僕たちの為に働いてきてくれたのだから、これからは自分の為に仕事をして生きて下さい」と60歳の誕生日に電話で伝えられたが、私は「うん 有難う」と言いながら「自分の為の人生?」と正直戸惑ってしまった。自分の為に一体これから何がしたいのだろう。自分の気持ちに正直に生きるってどういくことなんだろうと戸惑っている私がいるのである。

 次回のテーマは「正直に生きるって本当に可能なの?」というテーマで書いてみたいと思う。稚拙な文章にお付き合い頂き有難うございました。



M 奈良葉牡丹 (2).jpg

Photo by Hana


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posted by ライフプロデュース研事務担当 at 09:40| Comment(0) | ブログ

2021年02月13日

研究者はアスリート

VIVA黄ハート 活き活きと輝く素敵な80代シリーズ file 2 (file 1 はコチラから)

研究者はアスリート


シニア社会学会会長 たかちゃん


このブログでは、ご登場いただく皆さんに、本名ではなく、アバター名で登場していただいております。今回、シニア社会学会会長の袖井孝子先生には、ご自身のブログ名どおり、「たかちゃん」のアバター名でインタビューにお答えいただきました。
(袖井先生が子どものころからずっと呼ばれてきた愛称、そして現在も、親戚の間ではたかちゃんと呼ばれているそうです。)

◇プロフィール◇
袖井孝子さん(たかちゃん)
袖井先生.png

一般社団法人シニア社会学会会長
NPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長
一般社団法人コミュニティネットワーク協会会長
お茶の水女子大学名誉教授 東京家政学院大学客員教授
国際基督教大学教養学部卒業 カリフォルニア大学ロサンゼルス校修士(社会学)
東京都立大学大学院博士課程修了(社会学)元内閣府男女共同参画会議議員、厚生省女性と年金検討会座長、東京都老人総合研究所主任研究員などを歴任し、行政、大学、民間との連携、実践に力を注いでいる。

【インタビューの冒頭でお伝えしたいこと 
2012年 立教セカンドステージ大学の思い出 】


2012年、立教セカンドステージ大学で「セカンドステージと夫婦関係・親子関係」を受講してから早9年。当時、たかちゃんが、教室に入ってこられ、教壇に立たれるまでの厳かな雰囲気と緊張感、そして、私たち受講生に配布する授業のレジュメはA4サイズ1枚、多くても2枚。90分間、資料を殆ど見ることなく、張りのある落ち着いた声で、よどみなく日本の家族、親子関係、女性の生き方の変遷やジェンダーを語っておられた、たかちゃん。その凛々しいお姿が今も鮮烈に蘇ります。定規をあてたような縦にも横にも真っすぐな美しい黒板の板書―、いざ、自分が、子どもたちの前で、チョークを持って黒板に向かってみると、右上がりになり、なかなか上手くいきません。
たかちゃんは、一見、近寄りがたい雰囲気のオーラがありますが、一度打ち解けると、きさくでざっくばらん、チャーミングなお人柄です。今回は、読者の皆さんに、たかちゃんのブログのご紹介と共に、そうしたお人柄を感じていただきたいと考え、今回、このインタビューを試みました。

【たかちゃんのブログ】
さて、たかちゃんのブログは、2010年11月に開設され、10年以上も続いているブログで、「シニア社会学会」のHP 左側オレンジ色のアイコンからご覧いただけます。



まずは、多分野に亘るハッシュタグの多さに表れているように、ご本人の好奇心旺盛で新たなことにチャレンジし続ける姿にいつも元気を頂いております。また、一般人の私でも、社会情勢や世の中を見渡すときの視点の在り方などが大変参考になります。今回は、立春も過ぎた2月初めの週末に、電話インタビューでお答えいただいた内容の一部をみなさまにご紹介いたします。

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Hana:最新のブログ拝見いたしました。詩吟、準師範ご昇格おめでとうございます。
詩吟は8年続けられておられるということで、たかちゃんにとって詩吟の魅力はどんなところでしょうか。

たかちゃん:大きな声を出すことはとても大切。そして、詩吟を始めるまでは、漢詩の美しさに触れることがなかったの。心が落ち着くのよねぇ。健康にもいいし。あ、あとね、そぅそぅ、詩吟の仲間には、神楽坂という場所柄、Barのママさん、商店主、自営業の方々とのお付き合いが、それが居心地が良いのよ。袖井先生ではなく、「袖井さん」と呼ばれるのもいいの。

Hana:それは、いいですね。確かに声も年をとりますよね。大きな声の発声は大事です。
たかちゃんのブログは、2010年11月に始まり、10年間以上も続けてこられていますが、きっかけは何だったのでしょうか。

たかちゃん:ブログを始めたのはたまたまだったんです。シニア社会学会主催で、ある方々とブログの勉強会をしたんですよ。で、その流れで、日立のエンジニアだった方と学会で高齢者にICTを広める活動の一助として、ブログ開設を何人かと始めたんですね。そのメンバーで、現在続いているのは、学会メンバーでは私のブログだけかもしれませんね。

Hana : 2010年、ブログ講座に通われたことは記されておられますが、「シニア社会学会」でも勉強会を開催されたんですね。ブログを更新していく上で、心掛けておられること、視点の在り方などございますか。

たかちゃん:なるべく、自分が考えていることを率直に出そう、社会的な視点を常に加味しようかなぁーって思ってますね。そのテーマが社会情勢とか世の中にどう繋がっていくかとか。

Hana: .....なるほど。私自身、自分の限界や壁を感じたときに、このブログを読むと、元気が湧いてくるんです。「まだまだ修行が足らんぞ、わたしっ!」って。自分がどんなに背伸びしたところで、決して届かない山が身近なところに存在することって、それだけで人生豊かになり、素敵なことなんですよねぇ。因みに、たかちゃんは幼少の頃、どんな少女だったのですか。記憶に残っていること、ご紹介いただけますか。

たかちゃん:戦時中は、岐阜県の母の実家に、独りで疎開させられてたの。其処で、イジメにあった。相手は自分より少し年長の少年で、こどもながら必死で歯向かっていったら、近くにいたおじさんに、「女は男に歯向かうもんではない」と叱られた。そのイジメはいまでもトラウマになっているんだけど、この記憶が、今の私の原点かもねぇ。

Hana: たかちゃんが、イジメにあったんですか。

たかちゃん:子供の頃は結構いじめられていたのよ。群れないし、言うこと言うし、協調性ないって。

Hana:そうなんですか。私も似たようないじめにあってきました。でも、協調性に優れていたら、学者にはなれないような気もしますが。

たかちゃん:それはそうだわね。ははは。

【タイムマネジメントについて】
Hana: ところで、たかちゃんのブログを拝見していると、精力的に活動されていて、きっちり、タイムマネジメントの上手な器用な方だなぁーといつも感動しているのですが、タイムマネジメントの秘訣、複数の事を同時進行でこなすための秘訣はございますか。

たかちゃん:いやぁー、私は全然うまくやってない。「高齢社会をよくする女性の会」のメンバーは他にはもっと凄い人がいるわよ。色んな事を同時進行でマルチでやっていて、とうてい叶わない人が、あの会にはたくさんいる。代表の樋口恵子さんは本当に凄い。樋口さんが特に凄いと思うのは、細かいことに気が付き、思いやりがある。例えば、どんなに忙しくても、慶弔を重んじ、心を砕き、義理を重んじる。お通夜とか告別式とか、体調良くなくてもかなり遠方にも行くしね。そこが凄いなと思う。私は体調が悪いとそこまではできない。
私は、そんなにタイムマネジメントは上手くないと思うけど、欲張りなのかな。好奇心が勝つ。わたしの関心が一つのことに留まらないのは、欲張りなのよね。一つのことをやっていては面白くない。

【研究者はアスリート!!】
Hana: エネルギーをキープするのに何にでも関心を持つこと、欲張りなことは大切ですよね。もう一つ、たかちゃんが凄いなぁーと思うこと、学会の運営委員会で、参考文献などを、よどみなく、「著書名」、「作者名」、「出版社」数冊纏めて、ぺらぺらぺら〜と一気にご紹介くださるじゃぁないですか。流暢すぎて書き留めるのも困難で呆然!ペンがフリーズすることも度々ございます。記憶力を高めるための秘訣ってあるのでしょうか。
 
たかちゃん:(笑いながら語調を強めて)いやいやいや、あなたっ、それは、研究者にとっては当たり前のことですよ。

Hana: ええっ!そうですか。

たかちゃん:研究者にとっては、それは「飯の種」みたいなもんだから、当たり前。「参考文献」とか「研究者の業績」、社会学だったら「基礎的な概念」を瞬時に解説できるのは研究者としての基礎的なトレーニングの積み重ねの結果じゃあないかしら。それができなかったら、研究者にはなれないですからね。でも、日常的なことは結構忘れてしまうの。ほほほ。

Hana:てことはですよ、研究者ってアスリートなんですねっ。これは新たな発見!ですね。これは新たな発見!ちょっと待ってください。これは、書き留めなくっちゃ。
ええっと、「研究者はアスリート」。今回、この発見が出来たことは嬉しい!研究者の皆さんが、違う世界の方々ではなく、とても身近な存在に感じられますね。言われてみると思い当たる例が幾つかあります。

たかちゃん:そうそう、研究者は脳を鍛え続ける、アスリートね。好奇心と体力を兼ね備えることも絶対必要だし。

【たかちゃんと恩師との出会い】
Hana: たかちゃんの専門は、私たちが教えていただいた、「家族社会学」、「女性学」、「老年学」、立教セカンドステージ大学で受講した、「セカンドステージと夫婦関係・親子関係」の講義で学んだことはとても大きいものでした。もやもやしていたものが理論で整理されたっていうか。たかちゃんが、社会学者を志したきっかけなどございましたら、お話しいただけますでしょうか。

たかちゃん:全く、偶然だったの。社会学は高校まで全然知らなかった。ICUに入って、森岡清美先生の授業を受けたことがきっかけだった。社会学ってこんなに面白いんだって。当時、東京教育大学の助教授で、非常勤講師としてICUに来てらした。多分、先生に会わなかったらこの道は選ばない。本当に授業が面白かった。森岡先生は家族社会学の大家。思うに、ICUは広く浅く学ぶ大学なので、最初から専門を決めないの。だいたい専門は3年生で決める。私は一時は、「文化人類学」を志したこともある。未開な知の物語でわくわくする分野だから。

Hana: 森岡先生の授業は、当時のICUの学生だった、たかちゃんにとって何が面白かったんですか。

たかちゃん:先生の人格に惹かれた。誠実なお人柄で、クリスチャン。森岡先生に出会ったことがその後の私の人生を決めたといってもいいわね。森岡先生に「研究者として、一つの道に集中しないほうが良い、一筋でなく、複数の学問を究めたほうが良い」とアドバイス受けたの。ご本人も、「家族社会学」そして「宗教社会学」と複数の領域が専門であられる。一つの事に集中すると、他が見えなくなるのは危ない。私がこれまで、複数の道を歩んできたのは先生の影響が大きいわね。

Hana: 素晴らしい出会いですね。

たかちゃん:そうだわねぇー。

Hana:改めて見回すと、たかちゃんがマルチだからか、「シニア社会学会」のメンバーは複数の事を同時進行、マルチな方々が結構いらっしゃいますねぇー。

たかちゃん:そう言われてみればそうだわねぇー。

【志縁について】
Hana: 更に、具体的な質問で恐縮ですが、私が、2012年に受講した、たかちゃんの講義「セカンドステージと夫婦関係・親子関係」でおっしゃっていた「血縁より志縁」=サポートすることもされることも固定的な役割ではなく、志で繋がるご縁が、巡りめぐっていくという意味とおっしゃっていたのがとても印象的で、アフターコロナのなかでも、「志縁」というのが大変、effectiveだと共感致します。「血縁より志縁」について 「家族社会学」ご専門のたかちゃんのお言葉でお聞きしたいので、宜しくお願いいたします。

たかちゃん:当時よりも今の方が更に重要だと思っている。日本は血縁重視しすぎ。そこから問題が発生している。DV、暴力、虐待など、血縁を重視し過ぎる。欧米では、親に問題がある場合、州によって法律は違うが、外部権力が介入して、こどもを親から引き離し、里親に預けたり、施設に入れたりする。日本はそれがない。周りが血縁重視しすぎる。学校、児童相談所が親に問題があると判断しても家族関係を尊重しすぎて介入できない。生活保護を申請する場合も、疎遠な親族をあたらなくてはならない。相続もそう。シェアハウスも、グループリビングも上手くいかないのは相続の問題がある。アメリカでは、ペットに財産を移譲することもできたりしているのよね。高齢者のシェアハウス、グループリビングでも不動産の所有権を持っている方が亡くなったとき、疎遠だった親族が突然出てきて、解体してしまう。(※グループリビング 一人暮らしのお年寄りや老人夫婦など、独立した生活に不安を抱える人たちが、複数人の仲間と1つ屋根の下で助け合って暮らす住まい方)同様のことを複数の例を施設長さんから聞かされてきた。高齢者が亡くなると突然、遠い親族がでてきて、貯金を全部持って行ってしまう。なかには、お骨はいらないというひどいケースもあります。

情報過多、価値観の多様化された社会では、血縁だけは纏まらない。せっかく志で繋がった方々が同居していても、亡くなったと同時に見たこともない親族がでてくるのは不条理―、日常に関与してない人が突然、相続で出てくるっていうのは。日本の血縁重視が障壁になっている。志が同じの家族であれば問題ないのだが、そうでない場合の同居は、さまざまな問題が発生する。特に日本社会ではね。

Hana: 私も離婚した孤老の姉がいるので参考になります。ありがとうございます。

【高齢者と若者の同居】
Hana:同講義の中で、ゲストスピーカーのMRI(三菱総合研究所)の松田さんがご紹介してくれていた、フランスの事例、高齢者と若者の同居について、互いのニーズをマッチングさせるという試みは、当時もコミュニティ再生の新たな挑戦としてとても参考になりました。まさに今、with コロナ禍の中で、今後も推進されるべき案件の一つだとおもうのですが、あまり好例が紹介されていないみたいですよね。たかちゃんは、この試みが日本社会では、何が障壁になっていると思われますか。

たかちゃん:高齢者と若者間の生活時間の相違もあるだろうけど、一番は、高齢者側に問題があると思う。警戒心、猜疑心が強い。なかなか家の中に他人を入れないクローズドの状態。高齢者と若者の同居を試みた例は幾つかあるんだけど、なかなか成功に至らないのよね。一つ好例としてあげられるのは、江戸川区西葛西にあるNPOのシェアハウスで、大学生に管理人を兼ねて住まわせる。高齢者が住むワンルームマンションの、お部屋の数室を大学生に住んでもらい、昼間はNPOスタッフが管理し、夜間の緊急連絡などのサポートを大学生にしてもらう。そのシステムはいいと思う。この例では、土地をお寺さんが提供したと聞いている。今後、地域コミュニティの拠点としてお寺の果たす役割は小さくないと思う。

あと、日本では恩を受けたら必ずお返しをしなくちゃいけないでしょ。欧米では、恩を受けたら、その恩を直接返すのではなく、別の人へ送っていく。日本はクローズドの社会だから、なかなか他人に家の中を見せたがらないし、他者を大事にするよりも、自分にとって近しい人を大事にする。もらったものは必ずお返しをしなくてはならないし、一対一の「お返し」が大事な社会。お返しをしないと心苦しいと感じる。欧米では、他者を大切にし、受けた恩は、別の困っている人、必要としている人に送っていく。

Hana: あっ、恩送りの世界 pay forward ですね。
※pay forward とは : ある人物から受けた親切を、また別の人物への新しい親切でつないでいくことを意味する英語。

たかちゃん:そぅそぅ、pay forward,  いい言葉よね。

Hana: 私の地元のコミュニティの知人の大学3年生の男性が、実際に、土地や家を持っている孤老の高齢者と、コロナ禍の中、地方出身で、家賃を払いながら大学生活を送ることが厳しい大学生、その両者に特化した物件仲介をする不動産会社設立を目指して、自身も高齢者男性の家に同居する試みをしているのですが、生活時間の違いなど、なかなか厳しいものがあるようですよ。

たかちゃん:高齢者にとって、見も知らぬ若者と一対一の同居は厳しい。だから、自らも高齢者で、高齢者にアドバイスができる、両者間に立って共に一緒に何かをする、コ−ディネーター的な役割が必要なのよね。

Hana:そういう役割ができる人は「シニア社会学会」に結構いそうですね。前回このシリーズ・インタビューでご紹介した、NALCの柴さんなんかその筆頭ですね。

たかちゃん:そうね。そうだわね。結構いますね。

【1970年代の女子大生の印象について】
Hana:たかちゃんにとって、1970年代に大学生になった女子大生は教え子であられたわけで、私自身も正に1974年--1978年に大学に学部生として在籍していたわけですが、当時の大学生はどんな感じでしたか。因みに私たちの世代の女子大生は、「アンアン・ノンノ世代」、「元祖シラケ世代」などとも揶揄されたりしますが、当時の大学生との関わりで印象的なことはございますか。印象の特徴などございましたらお願いいたします。

たかちゃん:まず、女子大にびっくりしたわ。私はずぅっと共学だったので、女子大生の、親のいうとおり、お嫁さん志向にびっくり。「お茶の水女子大」の家庭経営学科は、地方出身、成績が良く、素直で素朴な娘さんが多かったわねー。70年代80年代の教え子は結婚退職が多く、その後も仕事を続けるのは少数派、何でエリートの妻であることに満足しちゃうのかなと思ったわ。

Hana: 短大か女子大の家政学部を出て、所謂、エリートのお嫁さんになる。その時代の正に王道でしたからね。(〜その後、しばらく、さまざまな女子大生の事例で会話は盛り上がりました。)


【ライフプロデュース研究会へのアドバイスをお願いいたします。】

たかちゃん:「共同参画社会」の理念をどうやって実現していくか。世代間の分断、ジェンダー間などの分断を解消する策を提言し、個人のメモワールに留まらないで、どう社会全体につなげていくか、ミクロからマクロに視点を広げて、どう社会に繋がっていくか、その点を広げ、提言していけるようになって欲しいわね。

Hana:、一人ひとりが持っている個性や能力を十分に発揮できる豊かな社会、「共同参画社会」の実現へ向けて、ミクロからマクロへ。アドバイス、ありがとうございます。早速、メンバーと共有いたします。

Hana: 最後に、「現役であり続ける、輝き続けるためのヒントやモットー」をお聞かせください。
たかちゃん:好奇心を持ち続けること、そして新しいことへのチャレンジ精神かな。

Hana:今回は快くインタビューに応じていただきありがとうございました。とても有意義な時間となりました。引き続き、どうぞ宜しくお願いいたします。

【編集後記】
 
「ライフプロデュース」研究会 Hana

今回、この投稿で、「たかちゃんのブログ」に関心を持たれた皆さん、至近の投稿では、昨年10月19日 「転倒しました。」12月4日「骨折・入院・手術をして退院しました。」12月12日「入院生活を振り返って」、この3つの投稿を時系列で読んでください。感じられることは人それぞれだと思いますが、私は、人間「たかちゃん」と「社会学者たかちゃん」の視点が、リアルに伝わってきて、元気いただきました! たまたま、私も同じ時期に、自転車で街路樹の植え込みに乗り上げ転倒し、左肩を強打し、幸い骨折ではなかったものの、治りが悪く整形外科通い、左肩を吊りながらの日常生活、辛い日々でした。時期同じく、13歳半の愛猫の死も重なり、かなり精神的にまいっていたこの期間に書かれたたかちゃんの投稿記事ー。入院生活の詳細な描写、主治医のキャラクターの観察、退院後の「入院生活」の緻密な振り返り。如何なる状況下でも、一貫して、生きるスタンスとその焦点がブレない方なんだなぁー、と改めて感動した経緯がございます。

 今回は、大胆にも「たかちゃん」とお呼びするインタビューとなりました。今後も自ら進化し続ける「たかちゃん」の新たな挑戦!、楽しみです。

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photo by Hana


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