2018年09月22日

第5回「ライフプロデュース」研究会 「人生で影響を受けた一冊」〜その1〜 山本恵子さんお勧め 茨木のり子

第5回「ライフプロデュース」研究会 開催のご報告(その1)    
中村昌子

 9月21日 18:00〜21:00 内幸町 日本プレスセンター内、日本記者クラブ9階ラウンジにて、第5回「ライフプロデュース」研究会 開催いたしました。今回は、メンバーの山本恵子さんご提案の「人生で影響を受けた一冊」がテーマでした。山本恵子さんは、団塊世代であられ、金融機関に勤務後、社会保険労務士・FPとして公的機関・金融機関・企業のセミナー講師を務めておられ、現在に至ります。今回、茨木のり子さんの詩集から2篇紹介されました。

「倚(よ)りかからず) ※ 茨城のり子 73歳の作品

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ

「自分の感受性くらい」

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

そして.....山本さんが、この研究会の運営の理想の在り方に求めるヒントとして、茨木のり子さんのエッセイをご紹介されました。

清談について

清談をしたくおもいます
物価 税金のはなし おことわり
人の悪口 噂もいや
我が子の報告 逐一もごかんべん
芸術づいた気障なのも やだし
受け売りの政談は ふるふるお助け!

日常の暮らしからは すっぱり切れて
ふわり漂うはなし
生きることのおもしろさ おかしさ
哀しさ くだらなさ ひょいと料理して
たべさせてくれる腕ききのコックはいませんか

女に限り 年齢を問わず 報酬なし
当方四十歳(とし やや サバをよんでいる)
私もうまくできないので憧れるのです
求む 清談の相手

茨木のり子展.jpg

果たして、「ライフプロデュース」研究会の面々は、山本さんにとって≪清談の妙手≫となり得るのでしょうか......。この秋、茨木のり子さんの作品を集中して読みたくなりました。

引き続き、「人生で影響を受けた一冊」は〜その2〜にて、他の皆様の「人生で影響を受けた一冊」をご紹介していきます。

尚、今回は、シニア社会学会会長の袖井孝子先生もご多忙の中、参加してくださいました。袖井先生ありがとうございました。袖井先生のお好きな、茨木のり子さんの詩は「わたしが一番きれいだったとき 」だそうです。※(茨木さんは15歳で日米開戦を、19歳で終戦をむかえたとのことです。)↓

わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがらと崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした

わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達が沢山死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった

わたしが一番きれいだったとき
誰もやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差だけを残し皆(みな)発っていった

わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った

わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり卑屈な町をのし歩いた

わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった

わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった

だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのように ね

茨木のり子.jpg
※ 茨木のり子さんの写真×2 2014年4月19日(土〜6月29日(日)世田谷文学館で開催された【茨木のり子展】から引用。




袖井孝子先生のブログサイトはこちらから↓







posted by ライフプロデュース研事務担当 at 10:54| Comment(0) | 日記
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