2020年07月11日

臨床心理士:大岡さん(60代)の近況

 この度の九州を襲った記録的な豪雨災害により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を, そして、被災された皆様の生活が1日も早く平穏に復することを心よりお祈り申し上げます。

 このブログをお読みいただいている皆様、如何お過ごしですか? 5月から「ライフプロデュース」研究会メンバー紹介をしております。8人目は、臨床心理士 大岡さん(女性 60代)です。大岡さんはこのブログの読者で、2019年3月 第10回「ライフプロデュース」研究会で、『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 著者 帚木蓬生(ははきぎほうせい)氏 2017 朝日選書』を課題図書に読書会を開催しブログアップしたところ、とても共感していただき、それが一つのきっかけとなって「ライフプロデュース」研究会のメンバーになっていただきました。研究会メンバーに、臨床心理士がおられるのはとても心強いですね。以下、大岡さんから頂いたレポートをご紹介いたします。

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L.P.研究会のみなさま、ご無沙汰しております。
これまで7人の方々の近況報告を拝読いたしましたが、それぞれに興味関心のあるテーマに前向きに取り組んでいらっしゃる様子にとても励まされ、元気をいただきました。共通するところは、しなやかな感性とバランス感覚ではないでしょうか。今のような危機的状況においては重要な要素だと思います。
さて、私は昨年から研究会に参加させていただいておりますが、多分一度もお会いしていない方もいらっしゃると思いますので、この機会に簡単な自己紹介をさせていただきたいと思います。
大学を卒業してそのまま母校の大学職員として32年間勤務してきました。一男一女の子育てをしながら、教務部、図書館、総長室秘書課、最後に法学部、経済学部の学部事務を担当して、長女の卒業と同時に大学を去りました。
心理学科を卒業しましたが、32年間心理学とは全く無縁の職員生活でした。もともとまじめに勉強したわけでもなく、卒業論文もよくこれで卒業させてくれたものだと思いました。しかも、学年末試験後スキーで足を骨折して、卒業式にも出られず、4月1日初出勤日には松葉つえをついてという、前代未聞の悲惨なスタート。人事課長にはきつく叱られたものでした。本当に今でも母校には足を向けることができません。
退職してから一年間、臨床心理士養成課程の大学院入学を目標に受験勉強をしました。大学で学んだ知識はみごとにひとかけらも残っていませんでした。翌年運よく大学院生活をスタートすることができました。3.11東日本大震災の翌月の4月です。
長男が大学を卒業して、就職してからトラブル続きで、これは普通じゃないと関連資料を読み漁り、東京都発達障害支援センターに行き着いて、2008年に発達障害の診断を得てから3年後のことでした。当時はまだまだ「発達障害」という概念が一般的に理解されている状況にはありませんでした。行動分析を専門とする、息子と大して変わらない年齢の教員に指導を受けながら、何とか修士論文を提出して2年間で修了することができました。そこから臨床心理士になるまでの3年間が、実は一番大変だったのです。1回目の試験で見事に玉砕し、2回目も不合格だった時には、絶望のどん底に突き落とされて、立ち直ることがなかなかできませんでした。それでも、ここに至るまでつぎ込んだ膨大な時間やエネルギーや資金のことを考えたら、諦めるわけにもいかず、死に物狂いで勉強をしました。
やっと合格できた時は、嬉しいより何より、もう受験勉強しなくてもよいという安堵の気持ちが強かったです。
長男はその後もトラブルは色々ありましたが、彼なりのペースで経験から学びとり、徐々に社会適応していくようになりました。今では殆どトラブルもなくなって、私の支援も必要としなくなってきました。親であることと支援者であることを両立させるのは、なかなか難しいのですが、親元を離れて独り暮らしをすることによって、ある程度の距離を保てたのが、結果としてよかったと思います。
私以外の大学院の同期生は長女と同じ年齢でしたが、みな修了と同時に心理関係の援助職について働き始めていました。私は試験に落ち続けていたので、心理職で収入を得るという自信も気力ももてないままで今に至っております。スーパーバイザーの先生に誘われて、精神分析の研究会に参加して月2回のケーススタディを5年間続けていますが、まだまだ学ぶべきことが多過ぎて仕事にするという気持ちになれません。心理相談センターの研究生として、担当するクライアントの一人は大学院の時からで、今年で8年目になります。今後はカウンセリングを学びながら、ひきこもりの人たちの支援をしたいと考えています。そのための講習会の受講を予定していましたが、コロナの影響で期間が延長されて、モバイル授業に変更となりました。

このコロナ禍の自粛生活で感じたことや気付いたことは色々ありますが、この予測不能な事態に、誰も正解をしめすことができず、社会のサポートのないまま、各人や各家庭が自己負担せざるを得なかったということ。テレビをつければ不安をあおるような情報ばかり、説明のつかない不安にどうやって対処したらよいのか、誰も教えてくれないから、自分で考えて何とかせざるを得なかったように思います。そしてその状況はこれからも続くことを覚悟する必要があるということ。「正解のない人生を生き抜く力がネガティブ・ケイパブリティである」と精神科医の帚木蓬生氏は語っています。「中ぶらりんの状態をもちこたえる」ことは様々な心理的な困難も伴うと思います。
「不要不急」のスローガンに、各個人の悩みや不安など、一刀両断されてしまったように思われ、真面目に取り組む人ほど苦しくなって、他人に不寛容になってしまうような気がします。では、各個人にとって何が要で何が急なのか、そのことを共に考えてみることはできるのでしょうか。心理士として「不安に寄り添うこと」の意味を改めて考える自粛生活でした。
因みに午前中はオンラインでヨガ、午後はネットフリックスで映画鑑賞、夜は読書かネットで落語を見るというのが、毎日のルーティンでした。読んだ本は11冊、観た映画は今日までに69本。一日1本のペースでした。


*❋⁎❈*゚*❋ 編集後記 ゚*❋⁎❈*゚*❋⁎❈*゚
by Hana

 長期に及んだ自粛期間を「心理士として不安に寄り添うことの意味を改めて考える自粛生活だった」と振り返る大岡さん、近況の中で、息子さんとの関係性の経緯についても語られておりますが、コロナ禍で予測不能な事態が続く社会で、生きづらさを感じたり、人間関係が上手くいかなかったり, コミュニケーションがうまく取れなかったり、様々な状況で引きこもっている人たちの支援、是非、実現していただきたいです。
 大岡さんと私は、大学は同窓で私が一年後輩なのですが、大岡さんは、あの美しい佇まいの校舎で、学部生時代も含めて36年間過ごされたことになるのですね。私自身も通算8年間通った懐かしい母校ー、四季折々、美しい変化を見せてくれる母校のアイビーの緑が美しく雨露に映えるこの季節、久しぶりに思い出しました。なかなか池袋に出かけるタイミングが掴めないので、数年前、母校校内で撮影した2枚(2014年初夏に撮影)をアップしてみました!

それにしてもコロナ自粛期間、観られた映画69本ってすごいですね。
  

アイビー.JPG


学び舎 アイビー.JPG

撮影 by Hana 2014年初夏


〜 to be continued〜




posted by ライフプロデュース研事務担当 at 16:21| Comment(0) | ブログ
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