【アウトプットすることの大切さ】&【86歳の壁】 Chako & Tappo
昨年創立20周年を迎えた「シニア社会学会」の研究会の一つとして、発足5年目を迎えた「ライフプロデュース」研究会は、コロナ禍の中もZOOMで月1回集い、この2022年7月で開催34回目となりました。
教える人も学び、学ぶ人もまた教える「Those who teach shall learn, Those who learn shall also teach.」−、双方向の学びが出来る場、一人一人が単なる参加者でなく、主体的に能動的に研究会活動を作り上げる主体者たることを目指し、できるだけ、毎月ファシリテーターの役割を交代し、ZOOMでWeb開催してきました。
研究会のお知らせなどは、「一般社団法人 シニア社会学会」のHPで毎月更新し、ご紹介しております。
7月のファシリテーターは、薬剤師歴50余年、半年後(2023年2月)に米寿(88歳)となられる和田久子さん(87歳)と、60歳で食品会社を定年退職、70代に突入したばかりの若井泰樹さん(70歳)のお二人に担当していただきました。今回のインタビューのキーワードは、以下の4つと言えるでしょうか。
@ 前頭葉の活性化には、「インプット」よりも「アウトプット」
A 「80歳の壁」じゃぁなくて、「86歳の壁」が一番手ごわい!
B シニア世代になって、再び、「青臭い話」ができる場所の大切さ
C この道50年超!の薬剤師がお勧めする、酷暑を乗り切る漢方薬、五苓散(ゴレイサン)
7月の研究会の参考図書はこの2冊でした。
◆和田久子さん(愛称:Chakoちゃん お孫さんにそぅ、呼ばせていたそうです。)
・昭和10年生まれ、87歳。この道、50年超、現役薬剤師。
・出身地:石川県金沢市
・きょうだい:三人きょうだいの長女(弟二人は既に故人)
・趣味:現在は英語に触れること。TVでスポーツ観戦。
茶道・書道・編み物・洋裁・料理
・座右の銘:大願成就 願うだけでなく努力し続けることが肝心!


40代、薬剤師の仲間と(上)、【船橋市民大学】で講義をした時の最近のショット(下)
◆若井泰樹さん(愛称:Tappoちゃん 幼少から現在まで、 地元深川の町内会でこう呼ばれ続けてる。)
・出身地:東京・江東区深川(下町) 昭和26年生まれ 70歳。
・きょうだい:二人兄弟の「長男」
・趣味:現役時代は「ゴルフ」、
最近は、「ガーデニング」「俳句」「読書」、地元の歴史探訪 、B級グルメの穴場店探し
・座右の銘:人間万事塞翁が馬
地元 下町深川 祭りの写真、娘さんとお孫さんと(上)。 綺麗に咲かせた、ご自宅のアジサイの花(下)

【1.前頭葉の活性化には、インプットよりもアウトプット】
Hana: 当初、7月の研究会のテーマは、
@ 70代に突入!した、元食品会社営業マンが紐解く、【70歳が老化の分かれ道】
ファシリテーター 若井泰樹さん
A この道50年、来年、米寿を迎える現役薬剤師が実体験から分析する【80歳の壁】
ファシリテーター 和田久子さん
の二本立てでしたが、お二人が打ち合わせする流れの中で、 課題図書2冊は別々に著しているが、内容的に「ほぼ共通する部分」が多く、当日は70歳とか80歳とかの「壁」は取り払い、纏めて「フリーディスカッション」することになり、その結果、当日は、新たに参加された70代の男女2名を含めた計9名でフリーディスカッションをしたわけですが、 ファシリテーターを務められていかがでしたか?
Tappo: 和田秀樹氏の著書でもインプットからアウトプットに行動を変える効果について述べられていますが、インプットとアウトプットの大切さ、特に、アウトプットの大切さ、難しさを今回も実感しました。
Hana:アウトプットする方法やできる場所も限られますよね。もう少し詳しくお聞かせください。
Tappo:はぃ。この本にもあるように、一人で読書して知識をインプットするよりもアウトプットの行為の方が、前頭葉が活性化され、老化防止に繋がるということを体感したわけです。研究会で担当がきまると、課題図書を3回位、読み直してレジュメを纏める。そうすると前頭葉が活性化してくる。纏めることで頭を使う。70過ぎたら人前で発表する機会はなかなかない。人前でアウトプットすることを、現役で続けられる機会を得るのが嬉しいんですよね。
Hana:なるほど。和田氏の著書には「アウトプットとは、得た知識を、これまでの経験などを使って加工して述べると前頭葉はフル稼働する」とありますね。「得た知識を(加工)する。」という点では、Chakoさんが主張された、〖86歳の壁〗は、私には、衝撃的でした。Chakoさん、〖86歳の壁〗についてお話しいただけますか。
【「80歳の壁」じゃぁなくて、「86歳の壁」が一番手ごわい!】
Chako:はぃ。私は、この本を2冊読んで、著者の和田さんは専門家とは言え、62歳とまだまだお若く、80歳代になった人ではないので、「少し甘いかな」と感じたところがあります。
Hana: なるほど、和田氏の著書が甘いとお感じになった。そこのところをもぅ少し詳しくお話しいただけますか。
Chako:はぃ。70歳と80歳は全く違うけど、85歳と86歳も全く違う。私の場合は、70歳になったときも80才になったときも、何ら変化なく、まだまだ自分が年寄りという自覚はなかったんです。優先席を譲られても「えっ?いいのに。」って感じでした。85才までは自分がお婆さんと思っていなかったけど、86才になった途端、自分はどうみてもお婆さんとはじめて自覚しました。薬剤師の同期仲間ともこの点は共感しあいました。「86歳の壁が一番てごわいって。」
Hana:うぅーん!「86歳の壁が一番てごわい!」このChakoさんの生の声、60代の私にとってはかなり衝撃的でしたよ。「86歳の壁」って。
Chako:後日談、そのあと、「86歳の壁」で共感し合った薬剤師仲間5名で、グループを作りました。グループ名は、「ハラハラ会」―(笑)
あと、この研究会について感じていることを少しー。私は他の皆さんと違い、コロナ禍になってから参加しているので、ZOOMでの研究会しか知らないのですが、皆さん、お話が上手くて凄いなぁと、本当に感心しています。早く、リアルに皆さんとお目にかかりたい。私が、所属している「船橋市民大学」、「中央区民カレッジ」では、受講生は70才代が多く、いずれにしても私が最年長です。
【シニア世代になって、再び、「青臭い話」ができる場所の大切さ】
Tappo:Chakoさんはじめ、研究会のメンバーは年齢を聞いたら、「あぁ、そうなんだ。」とは思うけど、個人差、その人の生きざまであって、年齢はあまり関係ないかも知れませんね。
Hana:確かに、研究会仲間は、年齢はあまり気にしないですねぇー。世代の背景は気にするけど….。ところで、Tappoさんは、『この研究会は青臭い話ができるから嬉しい』としばしばおっしゃって、私もストライクゾーン!で共感しているのですが、Tappoさんにとって、『青臭い話ができる場所』としてのこの研究会の意義をもう少し詳しくお話しください。
Tappo: はい、年をとると世間体とか世の中の常識の壁とかに阻まれてなかなか心の中にある本音が話しづらい。振り返れば学生時代、友人と夜を徹して話し合ったことは正に「青臭い話」、政治や世の中を批判したり。哲学について、人生についてとりとめもなく語り合った。社会人となって「人生とは」なんて会社仲間に言ったら、「お前、どうした? 頭、おかしいんじゃないか?」なんて言われちゃいそう。この研究会で会話している内容を、他のところで言ったら、『何いってるんだよ。難しいこと言ってー。」で終わりですね、きっとー。でもこの研究会では何を言っても許される。そんな周りからみたら、めんどくさい、青臭い話を、今こうしてこの世代になって再び、気を遣わなくてすむ、気の置けない仲間たちと、思いのたけ話せるのがいいよなぁ。70歳になっても80歳になってもヒトは「人生ってなんだろう〜。」って考えるものなのに、それをなかなか言いづらい。それが、この研究会の中では思いのたけ、心の内が言いあえる。そこがいいなぁーって。
Hana: 皆さん、人生、艱難乗り越えてきて、相手の状況を慮れるのもいいですねぇ。
Tappo:この会に入ってよかったと思ったことは幾度となくあるのですが、特に2つ挙げると、「アウトプットすることで現役の感覚でいられること」、それともう一つ、「時代の流れについていけていること」ー。
コロナで研究会ができなくなったことが凄く残念でショックだったけど、ZOOMでオンライン開催になって2年以上(飲み会はなくなって寂しいけど)、月一回のこの「オンライン研究会」のお陰で、課題図書を読んで、ZOOMの画面に向かって発表するなんて、そんな体験を当たり前のようにできることの有難みは本当に夢みたい。本を読んだりTVを見たり、インプットはできるけど、僕らの世代で、こんな風に定期的に思いのたけを「ZOOM画面に向かってアウトプット!」しているなんて本当に少ないと思います。
Hana:今回、研究会開催へ向けて、準備段階のお二人のやりとりも、私にまで共有してくださっていましたね。互いに思いやりに溢れていて微笑ましかったです。研究会終了後、Chakoさんから届いたメールも、共感しました。「食べることと、動くことが大事、自然に逆らわず そのためには嫌な人や事からは逃げて (逃げるは勝ち) もいいです。思い込みもよくない。ストレスを溜めるのが一番よくない。更には好きな趣味を見つけ、心穏やかに日々を過ごす事こそが大切だと思っています」
Tappo :そうそう、ストレスを溜めないのが一番大切ですね。
Hana: 「 逃げるは勝ち 」のところで思わず笑ってしまいましたよ。
【 夏を乗り切るお勧めの漢方薬 五苓散(ゴレイサン) 】
Hana: ところで、Chakoさん、先月の研究会で、「この季節、熱中症の症状が出たら『五苓散』(ゴレイサン)がお勧めです。」とおっしゃっておられましたが、あの後、熱中症の症状のある方にご紹介してとても感謝されましたので、もう少し詳しくご説明いただけますか。
Chako: 五苓散(ゴレイサン)とは何千年も前の中国の漢の時代の傷寒論に載っている昔の漢方薬で、主薬は猪苓 茯苓 蒼朮 沢瀉 桂皮 (チョレイ ブクリョウ ソウジュツ タクシャ ケイヒ)で、利尿作用のある5つの生薬が配合されています。効能としては 尿量が減量したり 口渇がある時「体内の水分循環を良くし無駄な水分を取り除き」、めまい 吐き気 むくみ 嘔吐 腹痛 頭痛 下痢などの症状が出る時に服用します。従って、乗り物酔い、二日酔い、暑気あたり(熱中症) 、気圧変動による頭痛etc に使われ、速攻で効きます。乗り物酔いをする方など出かける前予防に飲むといいです。熱中症にも事前に服用をお勧めします。お子さんも飲めます。私自身もこどもたちが小さいころから、車で長距離移動するときには、必ず、服用しておりました。
お勧めの漢方薬としてもう一件、不幸にもコロナに罹患してしまった方、喉が痛い、食欲がない症状がでたときにお勧めの漢方は、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)と小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)と葛根湯(カッコントウ)です。自分がもしかかったら是非飲みたいです。
Hana:大変、参考になります。ありがとうございます。漢方、良いですね。私も、更年期症状で苦しんだ頃は、加味逍遥散(カミショウヨウサン)、現在は、薏苡仁(ヨクイニン)、処方してもらっております。
Hana:最後に、Tappoさん、何か読者の皆さんにメッセージございますか?
Tappo:この研究会でも、健康で毎日いきいきとシニアライフをおくる秘訣について語られてきた中の「名言」で、「<いま、ここ>を大切に生きる!」がありますよね。私も、過去(特に 嫌な思い出 )は振り返らず、誰にも分からないような「未来」を憂うことなく、毎日その一日を有意義に、楽しく過ごすことだけ考えるようにしています。若い現役の方々からは、お叱りを頂戴するかも?ですが、特にコロナ禍において、結果としてシニアたちが元気に過ごすことが、「双方、Win-Winの関係」に繋がると確信しております。
Hana:: Chakoさん、Tappoさん、今回は、研究会終了後の流れで、即興的なインタビューでしたが、大変、良いお話をお聴き出来ました。ありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
【Age is just a number.(年齢は単なる数字さ!)
〜インタビューを終えて〜】
〜インタビューを終えて〜】
今回のインタビューは、お二人に、7月の研究会のファシリテーターをお願いし、研究会当日へ向けてのお二人のメールのやり取りが微笑ましく、研究会終了で解散してしまうにはもったいないと思ったので、急遽、流れと勢いで、このインタビューシリーズ、No7ご登場いただきました。
【Age is just a number.(年齢は単なる数字さ!)】は、好きな言葉の一つですが、今回のインタビューでは改めてこの言葉をかみしめました。Chakoさん、Tappoさん、ありがとうございました。
8月の「第35回 ライフプロデュース研究会」開催は、8月31日(水曜日)17:30〜19:30 ZOOM開催となります。テーマなど詳細については、追って、シニア社会学会のHPにてお知らせいたします。ご参加希望の方は、nakamurayoshiko6@gmail.com にご連絡ください。
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