エイジフリーに温故知新!活き活きと輝く70代80代! File No6
何事にも集中+心技体。〖川ちゃん〗
リタイアした企業戦士、特に子どもの頃から競争社会の中を生きてきて、高度成長期の日本経済を支えた「団塊の世代」の男性は、やっと解放されて, 静かに第二の人生を過ごしている方が多い。が、今回、登場する川ちゃんは違う。川ちゃんは、「即断・即決・即行 」をモットーに、現役時代とほぼ変わらぬスピード感(勘)でずーっと走り続けておられるのだ。御年75歳にして、「未来を信じ、未来に生きる!」を旗印に、同世代の「社会人間」のリーダー(いや、ほぼカリスマ)として、地域活動になかなか一歩踏み出せない同世代を啓発し、ソーシャルアクションを実践、地域コミュニティで実現していく、川ちゃん。
川ちゃんのこの原動力は一体何だろうか。そんな問いを抱き、川ちゃんの心のルーツを探りたくて、今回は、インタビューを試みてみました。
◆川村匡由(まさよし)さん(川ちゃん)プロフィール◆
1946年静岡県遠江(とおとうみ)一宮出身。
ピアノの調律師の父と農業を営む母、三兄弟の長男。
人間科学博士(早稲田大学・1999年)。
社会福祉学者(社会保障・高齢者福祉・地域福祉が専門)
武蔵野大学・武蔵野大学大学院名誉教授。
福祉デザイン研究所所長。そして、山岳紀行家
シニア社会学会理事 ガバナンス研究会座長
http://www.kawamura0515.sakura.ne.jp
(マッタ―ホルンにて)
Hana:「川ちゃん」はご出身は静岡県遠江(とおとうみ)一宮とのこと。故郷ではどんな少年時代を過ごされましたか。また、どんな少年だったのでしょうか。エピソードがあればご紹介ください。
川ちゃん:サラリーマンと半農の一家の3人兄弟の長男。小学生のころ、チャンバラや月光仮面ごっこ、草野球ではいつもお山の大将で、近所の人たちから「あの子は成功すれば大物。失敗したらヤクザに」と。ヤクザにはならなかったが、大物にもなれなかった(泣)。
Hana: あははは………(大笑い)。少年,川ちゃんが、やんちゃに駆け回る姿が目に浮かびます。
※遠江一宮(村:現森町)出身。琵琶湖がある近江に対し、浜名湖があるため、「遠江」の名がある。また、一宮は小国仁社に由来、小国とは出雲大社の大国に対する美称で、祭神は己等乃麻知媛命(ことのまちひめのみこと)。遠州の小京都ともいわれている。社伝によれば29代天皇の欽明天皇(555年?)、現在地より6キロほど奥まった本宮山に神霊が示現したので、勅命によりそこに社殿が造営された。『続日本後紀』(840年)で「遠江国周智郡の無位の小国天神(中略)に従五位下を授け奉る」と記されている。以来、皇族や武将の信仰が篤く、遠江国一宮として崇敬を受け、江戸時代、「一宮神社」と称していた。Hana:ご両親はどんな方だったんですか。
川ちゃん:父は日本楽器(現ヤマハ)、河合楽器の調律師で真面目一辺倒の仕事人。母は田畑を持っていて農業しながら専業主婦。母の影響は大きかったな。サラリーマンの夫を支えながら男の子3人を育てたパワーは凄いと思う。
Hana: 川ちゃんは社会福祉学者として社会保障・高齢者福祉・地域福祉の専門家。その他、福祉デザイン研究所所長、山岳紀行家とマルチに活動、ご活躍されております。 いわば複業の先駆者であられます。そこで、質問を幾つかさせていただきます。
(この質問は、事前にお聞きしました。)
@ タイムマネジメントの秘訣を教えていただけますか。
←「複業の先駆者」などさらさらないが、人にはだれにも「人生100年」という公平な時間が与えられているため、1分1秒たりとも有効に使うべく独立自尊(慶応義塾大学の創始者・福沢諭吉とは無縁:泣)、即断・即決・即行をモットーに日々研鑽(?)。マイカーはこれまで6台乗り換え(脱・炭素化のため、今年9月、電気自動車のベンツに)、登山を兼ねて各地に調査やゼミ旅行。そして、常に過去を検証して現在の問題を提起し、未来を展望すべく情勢・情報の把握と分析、先読みを。実は賃貸マンションのオーナー。これも内緒の話……。
A 複数の仕事をこなす際の心得がございましたら是非、教えてください。
←場当たり的に過ごさず、10年、20年先を考え、他人よりも先を行く。「少年老い易く学成り難し」だが(泣)。
B 川ちゃんご自身の中でそれぞれのお仕事のバランスはどんな感じなのでしょうか。
←主は研究実践、従は生活設計。ほかは趣味の山歩きで息抜き。いずれにせよ、何事にも全神経を集中させ、満喫することが大事です。
Hana: 読売新聞社中部本社編集局社会部勤務時代のこと、お話になれる範囲で、エピソード、幾つかお話しいただけますか。
川ちゃん:←作家をめざすべく文章修業をと新聞記者になって警察、役所、裁判所を担当したところ民法や労働法、社会政策・社会保障に関心を持ち、麻雀や飲酒で明け暮れしている同僚を横目に弁護士へと志望を変更して司法試験にチャレンジ。その過程で大阪の中堅商社の脱税などをスクープ。暴力団幹部の葬儀でビビるカメラマンを尻目に一人で取材。このころ行政書士試験にパスしたが、39歳のとき、年金改革の本を処女出版したところ大ヒット。某政党から国会議員選挙への立候補を要請されたが、「三バン」でないと固辞した折、地元の大学から非常勤講師を招聘され、研究者の道に。
警察官の左肩に映る、若かりし新聞記者 川ちゃんの表情が渋いっ!※三バン=地盤・看板・カバン。地盤は選挙区と後援会、看板は知名度、カバンは資金力を指す。Hana:あははは。。。。。暴力団の葬儀のエピソードは川ちゃんらしい武勇伝ですね。 表情変えずにクールに「しらっ!」と取材される川ちゃんが目に浮かびます。さて、川ちゃんが国会議員さんになっていたとしたら、どんな議員さんになっていたのでしょうねー。
川ちゃん:いやぁ、「三バン」でないと、きっぱり固辞しましたよ。その後、42歳で専門学校の専任講師、47歳で社会福祉の大家、
三浦文夫先生のご紹介で首都圏の大学の専任教授に就任(助教授・准教授はせず)、NHKのテレビなどに出演。この間、樋口恵子、俵萌子(故人)両氏などの薫陶を受けた。その後、51歳のとき、講演先で濱口晴彦先生に出会い、早稲田大学大学院人間科学研究科で博士論文の提出のご教示を得て学位を取得、同学の大学及び大学院の非常勤講師や日曜講座、シニア社会学会への入会を勧誘された。入会後、袖井孝子、長田攻一先生らとの出会いもあり、感謝、感謝の昨今。
(非常勤講師先の東大にて)Hana:川ちゃんは年上の方々, 特にお姉さま方?に可愛がられたんですねぇ。
川ちゃん:えー、性別を問わず。。。。いろいろ贔屓にしてもらいましたね。他にも….。
Hana:何となくわかるような気がします。川ちゃんのキャラクター、明るく元気、キュートですもんね(笑)。いつも全力投球、その真摯な生き様は、性差・世代を問わず心打たれ、元気いただきます。ご自身では、それらの方々に可愛がられた川ちゃんの魅力はなんだったんだと思われますか。
川ちゃん:千載一遇のチャンスは絶対逃してはいけない、人生の師に巡り合えたらトコトン教えを乞う。僕にとって人生の師は三浦先生ですね。先生は数年前に亡くなったのですが、生涯に亘って交流がありました。
Hana: 三浦先生にとっても川ちゃんの存在は大きかったのではないでしょうか。
♡このあと、川ちゃんは、三浦先生との交流のエピソードを懐かしそうに幾つかお話してくださいました。川ちゃん:仲間だと思ってくれていたのではないかと……。
Hana:「生涯現役」の見本のような川ちゃん、エネルギッシュに情熱を保ち続ける秘訣、また、体調管理で気を付けておられることをお聞かせください。
←早寝・早起き・睡眠たっぷり、何事にも集中+心技体。すなわち、心は生涯、自己研鑽の連続、技(?)は高齢者福祉・社会保障・地域福祉・国際福祉の研究で各国に渡航して防災福祉に開眼。体は高校1年で柔道初段、29歳で結婚後、愚妻の誘いで山歩き、ヒマラヤやアルプスの遭難や登頂などを取材。40歳で軽井沢に山荘を建て周辺の山や全国の「ふるさと富士」を登頂、山岳雑誌に寄稿したところ好評のため、印税先渡しで『ふるさと富士百名山』などを出版したり、寄稿したり。開聞岳(薩摩富士)登頂では知覧特攻基地から沖縄戦に飛び立った隊員が頂上を旋回して祖国に別れを告げた悲話に涙。飲酒・喫煙せず、これまで病気一つせず。湯浅道男(故人)・尾上昇元日本山岳会会長の恩恵も。
Hanaリタイア後の、特に男性が地域コミュニティに関わる、ヒントや秘訣、ございましたらお願いいたします。
川ちゃん:団塊世代は理屈っぽいようなんですね。政治と経済の話にはのってくる。でも足りないところは樋口氏いわく、「社会人間」になっていないところ。これまでの人脈やキャリア(経験、技量、資格)を活かし、自身の老活のために地域活動に参加し、実践し、かつ死ぬまで勉強、勉強、また、勉強!そして、ソーシャルアクション」に努めることが大事。
※ソーシャルアクション とは、不利益を被っている人々の状況を改善するため、ソーシャルワーカー等の専門家が運動家、アドボケーター、ファシリケーター、コーディネーター等の役割を担い、陳情・請願や訴訟、デモンストレーション等の示威行動を 住民や当事者と共に行い、公共政策の意思決定に何らかの影響力を与えようとする行動である。 社会参加の促進 は、ソーシャルアクションの主要な目的 となる。
Hana: なるほど、「ソーシャルアクション」ですか。アフターコロナ禍の時代は、益々、必要とされますよね。特に、私たちの世代に・・・。
川ちゃんは、ご自身の80代、90代、どのような未来を描いておられますか。
川ちゃん:戸建ての自宅か賃貸マンションの一部を地域に開放、有志とカフェを運営するとともに地域の行政や社協、病院などと連携して終活互助に取り組み、いずれ愚息(立教大学准教授:地域福祉・居住福祉)に引き継ぐこと。彼の著作はまだ15冊ほど。母校の故末川博総長(民法の権威)の「未来を信じ、未来に生きる!」。
Hana:「ライフプロデュース」研究会が5年ほど前、団塊世代の方々へ聞き取り調査を実施した際の一部があるのですが、ほぼ団塊世代の川ちゃん、これを読まれたご感想は?
川ちゃん:人生の大先輩など多士済々で、まだまだ人間として半人前だと痛感。「追いつけ追い越せ」は無理だろうが、日夜、切磋琢磨したい。
Hana「2025年問題」、真近ですね。ご自身の中の「団塊の世代」とは?を少しお話しいただければ幸いです。
川ちゃん:競争時代を何とか駆け抜けて得たこれまでの人脈やキャリア(経験、技
量、資格)を活かし、「数は力なり」をモットーに国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を三大原則とする世界に誇る日本国憲法を国是に富(所得・資産)の公平分配による社会保障の拡充と平和・福祉国家建設、世界連邦樹立のため、地域活動や社会貢献に努めるべき。学生時代のあのパワーを!(学友は今なお現役の国会議員やフォークシンガーでテレビ出演)
Hana:川ちゃんにとって奥様の存在はどんな存在でしょうか。ご夫婦円満の秘訣は。
川ちゃん:妻とは旅先の木曽路の民宿で出会い、都内の小学校教師(千葉大学卒)を3年勤めて小生と結婚。以後、専業主婦ながら幼児期から読書家で、教えられることが多い。登山についても海外の歴史とか、文化とか作家や学者の情報は妻から得たものが大きい。
Hana: 奥様へのリスペクト、素敵ですねえ。
川ちゃん:「健康第一」を心掛けた食生活、かつ世情の成り行きや夫婦円満の秘訣や第二、第三の人生のあり方を伝授され、感謝、感謝だが、「有能な人材なだけに“社会の損失”」とは小生(おのろけでなく:笑)。ともあれ、妻は、老活・終活の戦友。
Hana:戦友ですか。素敵ですねぇ。お二人で戦ってこられた歳月―。
白馬岳にて 川村ご夫妻Hana:この対談シリーズの原題は「Viva! 生き生きと輝き続ける素敵な70代80代 」なのですが、川ちゃんにとって現役であり続ける、また、輝き続けるためのヒントやモットーは何でしょうか。
川ちゃん:まずは健康第一。繰り返しだが、そのためには早寝・早起き・睡眠たっぷり、何事も集中し、心技体、そして、地域活動への参加を通じた老活・終活。
Hana:現役世代への贈りたいメッセージはございますか。
川ちゃん:これも繰り返しだが、健康第一、すなわち、早寝・早起き・睡眠たっぷり、禁煙・禁酒(笑)、何事も集中+心技体、そして、10年、20年先の自分や家族、社会のあり方を見据えた日々の研鑽、すなわち、老活・終活。あと、夫婦げんかの防止に保護猫を飼っており、これまで3匹を看取ったあと、現在、2匹。これが可愛くて、可愛くて。彼らこそ最愛の・・・(笑)。
Hana: わお、川村家には猫ちゃん、2匹おられるんですか。お名前は?
川ちゃん:息子が沖縄から連れて帰ったパック君と保護猫のレオちゃん。
Hana:(写真を見て)わーーっ、二匹とも美猫ですねぇー。
手前がパック君、後ろがレオちゃんHana:ライフプロデュース研究会への期待やアドバイス、ございましたらお願いいたします。
川ちゃん:活動の意義と情報の発信・拡散、すなわち、口コミ、マスコミ、ITCの活用や学会報告、ワークショップ、著作活動、メディア出演などを通じた会員の獲得、学びをさらに。
Hana: 貴重なアドバイスありがとうございます。励みになります。「学びをさらに」、この点に関しては「ライフプロデュース」研究会メンバー一人一人の、「飽くなき探求心と向学心」素晴らしいです。自画自賛ですが.....。(笑)
本日はご多忙の中、インタビューお引き受けいただきありがとうございました。
川ちゃん、元気戴きました。ありがとうございました!
☆*⁎*⁎*⁎☆*⁎*⁎*⁎☆インタビューを終えて 編集後記☆*⁎*⁎*⁎☆*⁎*⁎*⁎☆
研究者・作家・山岳紀行家・不動産経営主である川ちゃんは、<複業の先駆者>とも言えます。何事にも常に誠心誠意、全力投球される川ちゃんー。しなやかに社会の変化の波を乗りこなし、時代のニーズの先取りし、「死ぬまで勉強、勉強、また、勉強!そして、ソーシャルアクションに努めることが大事。」とおっしゃるその表情は爽やかで曇りなく、後に続くものに、未来と希望を感じさせてくれます。
川ちゃんの「学び」の原点は、「柔道一直線」だった静岡県遠江出身の青年が、東京の百貨店で2週間アルバイトして、貯めたお金でカセットレコーダーを買うつもりが勢い「学習机」を買ってしまい、作家を目指すための学びに集中されるようになった、その頃の様です。また、京都の大学で過ごした4年間、親の仕送りにほぼ頼らず、旅館や喫茶店を手伝って自活されたとのこと。その他、若かりし頃の楽しいエピソード、沢山お聞かせいただきました。
現在は、賃貸マンションのオーナーの立場を活用し、その一部を地域に開放、有志とカフェを運営するとともに、地域の行政や社協、病院などと連携して終活互助に取り組んでおられ、並行して、研究活動、執筆活動も精力的な川ちゃん、時代のニーズにマッチした、活動拠点での「終活互助の取り組み」、今後の展開が楽しみです。
今回のインタビューでは、「何事も集中+心技体」がモットー、その生き様から、パワーと元気をいっぱいいただきました。アフター コロナの社会,「超高齢社会」で、未来が描ける、見える、川ちゃんの実践的な活動、とても刺激をいただきました。
ご多忙のところ、「ライフプロデュース」研究会のインタビューにお付き合いいただきありがとうございました。